VIII-I8 ポータル比率と自社サイト比率を月次で追う―不動産AIOのKPI設計
不動産AIOのKPI設計
このレッスンの狙い:AI回答の引用元が自社サイトかポータルかを月次で記録し、ポータル依存度の変化を追う計測設計ができるようになる。
最終更新: 2026-07-25
この記事の要点
- AI回答の引用元が自社サイトかポータルかを月次で記録し、ポータル依存度の変化を追う計測設計ができるようになる。
- まず自社の現在地を確認する
- 大規模分析の手法をヒントにする
AIOの取り組みを始めると、必ず出てくる疑問が「何をもって成果とするか」です。不動産業界では、AIの回答が自社サイトを引用しているか、それともポータルサイトを引用しているかという比率が、実務上わかりやすいKPIになります。
用語解説
「KPI」とは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略で、目標達成のために継続的に計測する指標のことです。AIOにおいては、順位ではなく「引用されたかどうか」を軸にした指標設計が必要になります。
まず自社の現在地を確認する
自社の主要エリア・物件種別に「おすすめ」「相場」等を組み合わせてChatGPT・Perplexity・Gemini・Google AI Overviewsに実際に質問し、自社が挙がるか、挙がる場合はSUUMO等ポータルと自社サイトのどちらが情報源として使われているかを確認します。これが計測の出発点です。プロンプトの言い回しを少し変えるだけで結果が変わることもあるため、最初は同じ表現で繰り返し試し、結果のブレも記録しておくとよいでしょう。
具体例
プロンプト例:「東京都〇〇区でファミリー向けの中古マンションを探しています。相場感とおすすめの不動産会社を教えてください。」のように、エリア・物件種別・属性(ファミリー向け等)を具体的に書き込むと、実際の利用者の質問に近い結果が得られます。
- 主要プロンプトのリストを作る(エリア×物件種別×「おすすめ」「相場」等)
- 月1回、各プロンプトをAIに投げて回答を記録する
- 引用元がポータルか自社サイトかを分類する
- 自社サイト比率の推移を月次で記録する
- 比率が下がった月は原因(コンテンツ更新の停滞等)を確認する
大規模分析の手法をヒントにする
不動産業界向けのある分析では、中古マンション・戸建て・土地探しを想定した200件のプロンプトをAIに投入し、実際に引用されたURLをドメイン単位で集計するという手法が取られています(出典: akarumi, 2026年6月、単一ベンダーによる分析のため要確認)。自社で200件ものプロンプトを用意するのは現実的ではありませんが、「プロンプトを大量に用意し、引用元をドメイン単位で機械的に分類する」という発想は、自社の月次計測を設計する際にも応用できます。こうした業界分析はベンダー自身の発信であることが多く、独立した第三者による追試が確認できないケースもあるため、自社の数字は自社で計測して初めて意味を持つと考えるべきです。
ポータル比率と自社サイト比率をセットで見る
I-10で詳しく扱いますが、AI回答の引用元は大手ポータルが一定の割合を占め続けるとされています。「自社サイト比率がゼロに近いこと」自体は異常ではなく、重要なのは自社サイト比率が施策の実施前後でどう変化したかという推移です。単月の数字だけで一喜一憂せず、最低でも3〜6カ月の推移で判断することをおすすめします。
計測は手作業でも始められる
専用ツールがなくても、主要プロンプトを一覧化してAIに手作業で質問し、結果をスプレッドシートに記録するだけで計測は始められます。完璧な自動計測を待つよりも、まず月1回の手作業計測を始めることが実務上は近道です。担当者を1人決めて「毎月第1営業日に計測する」のようにルール化しておくと、忙しさを理由に計測が途切れることを防げます。
実践ステップ
- 自社の主要エリア×物件種別の組み合わせで、プロンプトを10個程度リストアップする
- 月1回、同じプロンプトをChatGPT・Perplexity等に投げて結果を記録するルールを決める
- 各回答の引用元を「自社サイト」「ポータル」「その他」に分類する
- 記録用のスプレッドシートを用意し、月次で比率を追跡する
- 計測を担当する人と実施日を決め、社内で共有する
- 3カ月分たまったら、比率の推移とコンテンツ施策の実施時期を突き合わせる
まとめ
不動産AIOのKPI設計は、月次でのポータル比率・自社サイト比率の定点観測が実務上の出発点になります。専用ツールがなくても手作業で始められるので、まずは主要プロンプトのリストアップと担当者・実施日の決定から着手してください。次のI-9では、ここまでの内容を1枚のチェックリストにまとめます。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。
Q1. 不動産AIOのKPI設計で紹介されている200件のプロンプト分析は、複数の独立したベンダーによって共同実施された調査である
正しくは単一ベンダーによる分析であり、要確認とされている(出典: akarumi, 2026年6月)。
Q2. 不動産AIOにおける実務上わかりやすいKPIとして本文が挙げているのはどれか
AI回答の引用元が自社サイトかポータルかの比率が実務上わかりやすいKPIとされている。
Q3. 「自社サイト比率がゼロに近いこと」について本文はどう述べているか
自社サイト比率ゼロ近辺は異常ではなく、施策前後の推移で判断すべきとされている。
このレッスンのFAQ
Q. 計測の出発点は何ですか。
自社の主要エリア・物件種別で「おすすめ」「相場」等を組み合わせてChatGPT等に実際に質問し、自社が挙がるか、ポータルと自社サイトのどちらが情報源として使われているかを確認することです。
Q. 専用ツールがなくても計測は始められますか。
始められます。主要プロンプトを一覧化して手作業でAIに質問し、結果をスプレッドシートに記録するだけで計測は始められるとされています。
Q. 単月の数字だけで判断してよいですか。
よくありません。最低でも3〜6カ月の推移で判断することが推奨されています。