IV-D6 デジタルPRを設計する
引用されやすいアーンドメディア獲得のためのPR設計
このレッスンの狙い:AIOを意識したデジタルPR企画を設計できる
最終更新: 2026-07-23
この記事の要点
- AIOを意識したデジタルPR企画を設計できる
- デジタルPRとは何か、なぜ今あらためて設計するのか
- GEOという交差点で考える
プレスリリースを打てば、いつか誰かが取り上げてくれる——そう考えて発信を続けても、半年後に積み上がる言及の量はおそらくほとんど変わりません。デジタルPRは「思いついたら発信する」場当たり的な活動ではなく、引用されるアーンドメディアを計画的に生み出す設計の対象です。IV-C7・IV-C8で見た権威性シグナルとサイテーション整備の土台を、編IV-Dではここから実際に獲得しにいく具体策として動かしていきます。
デジタルPRとは何か、なぜ今あらためて設計するのか
デジタルPRとは、自社サイトの外側、つまり第三者のメディアやプラットフォームに取り上げてもらうことを狙って行う広報活動全般を指します。PR業界大手Muck Rackが2026年5月に公表した調査(ChatGPT・Claude・Geminiの回答に含まれる2,500万件超のリンクを17業界にわたり分析)では、アーンドメディア(第三者による報道・紹介)がAI引用全体の84%を占めることが、3回連続のレポートで一貫して報告されています。一方で有料広告・広告記事由来の引用はわずか0.3%にとどまります(出典: Muck Rack Blog, 2026年5月)。別の調査でもアーンドメディアの引用寄与は82〜89%という近い水準が示されており(出典: The Shadow Agency, 2026年)、広告費を積むだけではAI引用は増えにくいという傾向は複数の調査で一致しています。
GEOという交差点で考える
アーンドメディア獲得の活動は、近年GEO(Generative Engine Optimization、生成エンジン最適化)という呼び方で語られることが増えています。GEOは「コンテンツマーケティング・SEO・デジタルPR・プロダクトマーケティングの交差点」に位置づけられ、経験と専門性が信頼を生み、その信頼が引用に値する状態を作るという説明がなされています(出典: Shopos.ai, 2026年)。日本国内でもSEOとPRを連携させて取り組む企業は7割を超え、「重要」と回答した企業は約8割に達するという調査があります(出典: ADKマーケティング・ソリューションズ「生成AI時代の成果を左右する『SEO×PR連携』の実態調査」, 2026年7月確認)。デジタルPRはもはやSEO担当と広報担当が別々に動く仕事ではなく、AIOの中核として設計し直す対象になっています。
デジタルPR設計の5つの工程
具体的な設計は、次の5つの工程に分解すると動かしやすくなります。
- 独自データ・調査の作成: 自社アンケート、業界データの独自分析、インフォグラフィックなど、メディアが引用したくなる一次情報を年数回のペースで作る
- ターゲットメディアリストの作成: 業界専門メディア・経済メディア・地域メディアなど、生成AIが引用しやすい信頼性の高い媒体をリストアップする
- 専門家コメント依頼への継続対応: 記者からの取材・コメント依頼に日常的に応える体制を作る(具体的な動き方はIV-D8で扱います)
- プレスリリースの定期配信: 月1回程度を目安に、ニュース性のある情報を配信する(作り方はIV-D7で扱います)
- 効果測定の統合: 被リンク数・参照ドメイン数・オーガニック流入・ブランドキーワード検索ボリュームを組み合わせて確認する
(出典: Creative Drive「デジタルPR戦略とは?」2026年)
「発信量」より「引用される設計」を優先する
5つの工程の中でも、最初の一手として効果が大きいのは1つ目の独自データ作成です。IV-C7で見た通り、ブランドWeb言及の相関係数(0.664)は被リンク数(0.218)を上回りますが、その言及を生み出す起点になるのが「他社が引用したくなる一次情報」だからです。ただ発信量を増やすより、年に数回でも独自調査を作り、それを軸にプレスリリースやメディアアプローチを組み立てるほうが、結果としてアーンドメディア化しやすくなります。
実践ステップ
- 過去1年間に自社が発信したプレスリリース・寄稿の本数を数え、独自データ・調査ものが何本あったか確認する
- 自社の業界に関連する媒体を3〜5媒体に絞り、ターゲットメディアリストの叩き台を作る
- 社内に眠っている顧客データ・アンケート結果など、独自数字になりそうな素材を1つ洗い出す
- IV-D7・IV-D8で扱うプレスリリース配信と専門家コメント対応の担当を仮に決めておく
- 被リンク数・参照ドメイン数・オーガニック流入・ブランド検索ボリュームの4指標を並べる管理シートの項目だけ先に作っておく
まとめ
デジタルPRは、独自データの作成から効果測定まで5つの工程に分解できる設計対象です。アーンドメディアがAI引用の84%を占めるという複数調査の一致は、この設計に投資する理由として十分な根拠になります。ぶっちゃけ、最初の独自データさえ1つ用意できれば、そこから先は動かしやすくなります。プレスリリースの書き方はIV-D7、第三者メディアとの関係構築はIV-D8で、それぞれ工程を割って掘り下げます。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。
Q1. Muck Rackの調査(2026年5月)では、アーンドメディアがAI引用全体の84%を占めることが3回連続のレポートで一貫して報告されている。
一方で有料広告・広告記事由来の引用はわずか0.3%にとどまります。
Q2. デジタルPR設計の5つの工程に含まれないものはどれですか。
5つの工程は独自データ作成・ターゲットメディアリスト作成・専門家コメント対応・プレスリリース配信・効果測定の統合です。
Q3. 別の調査(The Shadow Agency)で示されたアーンドメディアの引用寄与の水準はどれですか。
Muck Rackの84%と近い水準が別の調査でも示されています。
このレッスンのFAQ
Q. アーンドメディアはAI引用の中でどのくらいの割合を占めるとされていますか。
Muck Rackの調査(2026年5月)では、アーンドメディアがAI引用全体の84%を占めるとされ、有料広告・広告記事由来はわずか0.3%です。
Q. デジタルPR設計の5つの工程とは何ですか。
独自データ・調査の作成、ターゲットメディアリストの作成、専門家コメント依頼への継続対応、プレスリリースの定期配信、効果測定の統合の5つです。
Q. デジタルPRで最初の一手として効果が大きいとされる工程は何ですか。
独自データ作成です。他社が引用したくなる一次情報を作ることが、ブランドWeb言及を生み出す起点になるとされています。