IV-C6 一次体験の織り込み方
実際に使った・試したという一次体験を文章に落とし込む方法
このレッスンの狙い:一次体験(Experience)をコンテンツに織り込める
最終更新: 2026-07-23
この記事の要点
- 一次体験(Experience)をコンテンツに織り込める
- Experience(経験)とは何かを、もう一度確認する
- AIO時代に一次体験の有無が「引用されるかどうか」を分ける
IV-C1で確認した通り、E-E-A-TのE(Experience=経験)は、Googleが2022年に追加した最も新しい評価軸です。このレッスンでは、その一次体験を実際の文章にどう落とし込むかを、具体的な書き方のレベルまで掘り下げます。ここで手に入れてほしい力は1つだけです。自社の商品・サービスについて、「実際に使った・試した人にしか書けない文章」を自分の手で組み立てられるようになることです。
Experience(経験)とは何かを、もう一度確認する
E-E-A-TのExperience(経験)とは、コンテンツ制作者がそのトピックについて実体験・一次体験を持っているかどうかを指す評価軸です。2022年12月15日、Googleは検索品質評価者向けガイドラインにこの「E」を追加し、「実際に商品を使った」「実際にその場所を訪れた」といった一次体験の有無を明確に評価対象へ加えました(出典: Google Search Central Blog「E-A-T gets an extra E for Experience」, 2022年12月)。Expertise(専門性)が「知識として知っているか」を問うのに対し、Experienceは「実際にやったことがあるか」を問う、もう一段階生々しい評価軸だと捉えると区別しやすくなります。
AIO時代に一次体験の有無が「引用されるかどうか」を分ける
IV-C1で見た通り、AI検索においてE-E-A-Tは「引用するか、しないか」を分ける二値的なゲートキーパーに近い働き方をする、という指摘があります。この関門の中でもExperienceは、とりわけ他人には代筆しにくいという特徴を持つ点が重要です。専門知識(Expertise)はウェブや書籍の情報を組み合わせればある程度まで再現できますし、権威性(Authoritativeness)や信頼性(Trustworthiness)も第三者の言及や実績の積み重ねで時間をかければ築けます。しかし「実際にやってみた」という一次体験だけは、本人が本当に経験していなければ、具体的な数字やつまずきのディテールを伴った形では書けません。ウェブ上にはすでに一般論を並べただけの記事が大量に存在するため、AIからすれば「その他大勢」と「実際に体験した一次情報」を区別する必要があり、後者を優先的に拾おうとするのは自然な振る舞いともいえます。
一次体験を「証拠」として見せる書き方
一次体験は、ただ「私は経験があります」と書くだけでは伝わりません。具体的な証拠を文章の中に埋め込む必要があります。効果的な要素は主に4つです。1つ目は具体的な数字(実施した日付・期間・回数・金額など)。2つ目は一人称の主語(「多くの場合は」ではなく「私は実際に」)。3つ目はうまくいかなかった経験や試行錯誤の過程(成功談だけを並べると、かえって一般論に見えてしまいます)。4つ目は再現可能な手順としての記述(読み手が同じように試せる形にする)です。以下は同じ内容を、一般論として書いた場合と一次体験として書いた場合の比較です。
[一般論]
このツールを導入すると業務効率が改善するといわれています。
[一次体験]
2026年6月から3か月間、実際にこのツールを自社の月次レポート作成に使いました。
導入前は1回あたり約4時間かかっていた作業が、最初の2週間は設定に手間取り
むしろ5時間近くかかりましたが、テンプレートを整えた3週目以降は約1時間半まで
短縮できました。後者のように、期間・回数・つまずいた過程まで含めることで、一次体験としての説得力が一気に増します。
著者情報とセットにして初めて効いてくる
一次体験は、それを語っている「誰か」が明確でないと説得力が半減します。同じエピソードでも、匿名の文章として置かれている場合と、経歴・専門領域が明示された著者に紐づいている場合とでは、信頼の受け取られ方が変わります。著者情報の構造化(Person schemaによる実装など)については、IV-C5で扱った内容とセットで運用することを前提にしてください。一次体験(Experience)と専門性の明示(著者情報)は、別々に積み上げるのではなく、同じコンテンツの中で組み合わせて初めて強いシグナルになります。
実践ステップ
- 自社の商品・サービスについて、自分自身または社内の誰かが実際に体験した具体的なエピソードを3つ書き出す
- それぞれのエピソードに、日付・期間・回数などの具体的な数字を1つ以上追加する
- 「多くの場合」「一般的に」という一般化した表現を、「私は」「弊社では」という一人称の表現に書き換える
- 成功談だけでなく、うまくいかなかった経験や修正した過程を最低1つ含める
- 書き上げた文章に、実名と経歴がわかる著者情報を紐づけて公開する
- 公開から3〜6か月後をめどに、内容が古くなっていないか一次体験の記述を見直す
まとめ
一次体験(Experience)は、E-E-A-Tの中でも最も新しく、かつ他人には代筆しにくい評価軸です。具体的な数字・一人称の主語・失敗談・著者情報という4点セットで文章に落とし込むことで、一般論の中に埋もれない、AIに拾われやすいコンテンツに近づけます。生成AIが大量の一般論的な文章を量産できる時代だからこそ、本人にしか書けない一次体験の希少価値はむしろ上がっているといえます。Experience(経験)の扱い方が固まったところで、次に整理すべきはE-E-A-TのA、Authoritativeness(権威性)です。IV-C7では、この権威性シグナルの正体をデータで確認します。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。
Q1. Googleは2022年12月15日、検索品質評価者向けガイドラインにExperience(経験)という評価軸を追加した。
実際に商品を使った、実際にその場所を訪れたといった一次体験の有無を評価対象へ加えました。
Q2. 一次体験を「証拠」として見せる4つの要素に含まれないものはどれですか。
成功談だけを並べるとかえって一般論に見えてしまうため、失敗談や試行錯誤の過程も含めることが有効とされています。
Q3. なぜ一次体験は他人に代筆しにくいとされるのですか。
専門知識や権威性は情報の組み合わせや積み重ねである程度再現できますが、一次体験は本人にしか書けないとされています。
このレッスンのFAQ
Q. Experience(経験)という評価軸はいつ、何によって追加されましたか。
2022年12月15日、Googleが検索品質評価者向けガイドラインに追加しました。実際に商品を使った、実際にその場所を訪れたといった一次体験の有無を評価対象に加えたものです。
Q. 一次体験を「証拠」として見せるための4つの要素は何ですか。
具体的な数字、一人称の主語、うまくいかなかった経験や試行錯誤の過程、再現可能な手順としての記述の4つです。
Q. 一次体験はなぜ他の評価軸より代筆しにくいとされていますか。
専門知識や権威性・信頼性は情報の組み合わせや時間をかけた積み重ねである程度再現できますが、一次体験は本人が本当に経験していなければ、具体的な数字やつまずきのディテールを伴った形では書けないためです。