スライドテキスト+スライドで学ぶ

II-B2 トークンとコンテキストを理解する

LLMが文章を扱う最小単位「トークン」と、一度に読める範囲「コンテキスト」

このレッスンの狙い:トークンとコンテキストウィンドウの意味を説明できる

最終更新: 2026-07-23

この記事の要点

  • トークンとコンテキストウィンドウの意味を説明できる
  • トークンとは何か
  • 日本語は英語よりコスパが悪い、という話
LLMとRAGの技術基礎II-B2

トークンとコンテキストを理解する

AIが言葉を数える単位と読み込める上限を知る

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前回のII-B1では、推論が「入力を一括処理する段階」と「1語ずつ生成する段階」の2段階で進むことを見ました。では、AIはその「1語」をどんな単位で数えているのでしょうか。この単位がトークンであり、それをどこまで一度に読み込めるかがコンテキストウィンドウです。この2つの言葉の意味、そして日本語コンテンツにとって何を意味するのかを、ここでしっかり押さえておきましょう。

トークンとは何か

トークンとは、LLMが文章を処理する際の最小単位のことです。単語・部分単語(サブワード)・記号などに分割され、英語ではおおむね4文字で1トークンになり、語彙数(トークンの種類数)は3.2万〜20万種類程度とされています(出典: Dremio, 2026年7月確認/Airbyte, 2026年7月確認)。II-B1で見た推論のデコード段階は、実はこの「トークン」を1つずつ予測して積み上げていく処理でした。

日本語は英語よりコスパが悪い、という話

多くのLLMはBPE(Byte Pair Encoding)系のサブワード分割を採用していますが、これは英語データを中心に最適化されており、日中韓(CJK)言語では効率が落ちるとされています(出典: Qiita, 2026年7月確認)。目安として、ひらがな1文字が1〜2トークン、漢字1文字が2〜3トークンに分割されるとされ、同じ内容を書いても日本語のほうが英語よりトークン数が多くなる一方、文字数自体は少ないという逆転現象が報告されています(出典: みうのAIテックブログ, 2026年7月確認)。イメージとしては次のようになります。

入力文: 「AIOとは何ですか」
トークン分割のイメージ: 「AI」「O」「と」「は」「何」「です」「か」

たった8文字の質問文でも、複数のトークンに分割されてしまうことが分かります。

コンテキストウィンドウとは何か

コンテキストウィンドウとは、AIが一度の処理で読み込める情報量(トークン数)の上限のことです。II-B1のプレフィル段階では、入力された全トークンを一括で処理して文脈を組み立てますが、その処理量はこのウィンドウの大きさに左右されます。ただし、コンテキストウィンドウを広げれば安心というわけではありません。Transformerの核である自己注意機構は、文中の全トークンが他の全トークンとの関連度を計算する仕組みのため、計算量は文章が長くなるほど長さの2乗で増えていきます(出典: Transformer Explainer, 2026年7月確認)。長く読み込めることと、コストが安く済むことは別の話です。

AIOの実務にどうつながるか

この2つの事実を組み合わせると、実務上の示唆が見えてきます。日本語コンテンツは同じ情報量でも英語よりトークン消費が多くなりやすく、コンテキストウィンドウの中で「読み取ってもらえる分量」に対して不利になりやすいということです。だからこそ、簡潔で構造化された文章(見出し・箇条書きの活用)が、AI検索に読み取られやすい可能性があると考えられます。だらだらと長い説明文よりも、要点を区切って積み上げる書き方のほうが、限られたトークン消費の中で正確に伝わりやすくなります。

実践ステップ

  1. 自社の主要記事を1本選び、見出し(h2/h3)の数と、1見出しあたりの文字量を数えてみる
  2. 同じ内容を英語で書いた場合と日本語で書いた場合、どちらが情報を伝えるのに必要な分量が多くなりそうか考えてみる
  3. 長い説明文が続く箇所を見つけたら、見出しや箇条書きで区切れないか検討する
  4. 1文が長くなりすぎている箇所(3行以上続く文など)がないか確認し、短く区切れないか見直す
  5. この記事構成の見直しは、次のII-B5(RAGの仕組み)・II-B7(チャンキング)でさらに具体的な手順として扱うので、気づいた点をメモしておく

まとめ

トークンはAIが文章を処理する最小単位で、コンテキストウィンドウは一度に読み込める上限です。日本語は英語よりトークン消費が多くなりやすいという非対称性があり、これはAIOにおいて簡潔で構造化された文章が有利とされる技術的な裏付けの一つになります。AIの知識になぜ「締め切り」が存在するのか——その理由は、次のII-B3で明らかにしていきます。

このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。

確認テスト

選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。

Q1. 同じ内容を書いた場合、日本語は英語よりトークン数が多くなる一方、文字数自体は少ないという逆転現象が報告されている。

Q2. 「コンテキストウィンドウ」の説明として正しいものはどれか。

Q3. Transformerの自己注意機構の計算量が文章の長さに対してどう増えるとされているか。

このレッスンのFAQ

Q. 日本語コンテンツはAIにとって不利になりますか?

日本語は英語よりトークン消費が多くなりやすく、コンテキストウィンドウの中で「読み取ってもらえる分量」に対して不利になりやすいとされています。簡潔で構造化された文章(見出し・箇条書きの活用)が有利と考えられる技術的な裏付けになります。

Q. コンテキストウィンドウを広げれば安心なのですか?

いいえ。自己注意機構は文中の全トークンが他の全トークンとの関連度を計算する仕組みのため、計算量は文章が長くなるほど長さの2乗で増えていきます。長く読み込めることとコストが安く済むことは別の話です。

Q. 1つの短い質問文でも複数のトークンに分割されますか?

はい。本文の例では「AIOとは何ですか」というたった8文字の質問文でも、複数のトークンに分割されることが示されています。

監修:鈴木晋介(株式会社WEBMARKS 代表取締役)

技術基礎LLM
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