IX-D1 韓国の検索市場の実像——Naverシェア「43%か64%か」問題
Naverシェア「43%か64%か」問題
このレッスンの狙い:計測方法によって韓国のNaverシェアの見え方が異なる理由を理解し、目的に応じて適切な数値を使い分けられるようになる
最終更新: 2026-07-25
この記事の要点
- 計測方法によって韓国のNaverシェアの見え方が異なる理由を理解し、目的に応じて適切な数値を使い分けられるようになる
- StatCounterが見せる「Google優位」の韓国
- 韓国国内調査が見せる「Naver優位」の韓国
東アジアのAIO戦略を考えるとき、最初につまずきやすいのが韓国の検索市場です。同じ「韓国の検索シェア」を調べても、参照する調査によってNaverのシェアが43%にも64%にも見えるという、他国にはあまりない現象が起きます。今回はこの数字の食い違いの正体を読み解きます。
StatCounterが見せる「Google優位」の韓国
まず、世界標準の計測ツールであるStatCounterのデータを見てみます。2026年6月時点で、韓国の検索エンジンシェアはGoogle45.91%・Naver43.68%・Bing6.28%・CocCoc1.22%・Yandex1.14%・Daum1.14%となっており、GoogleがNaverをわずかに上回る「僅差の2強」という結果が出ています(出典: Statcounter Global Stats、2026年6月確認)。
韓国国内調査が見せる「Naver優位」の韓国
一方、韓国国内の訪問ログやMAU(月間アクティブユーザー)を基準にした調査では、まったく違う景色が見えます。2026年上半期のNaverの検索市場シェアは64.28%で、前期(2025年下半期)の61.82%からさらに上昇したと報告されています。Statistaが公表するMAU基準の調査でも、Naver56%・Google35%・Daum約6%というNaver優位の数字が示されています(出典: InterAd、BigGo Finance、2026年確認)。
StatCounter(グローバル計測基準)
- Google45.91%・Naver43.68%(2026年6月)
- Bing・CocCoc・Yandex・Daumが僅差で続く
国内調査(訪問ログ・MAU基準)
- Naver64.28%が最大(2026年上半期)
- MAU基準ではNaver56%・Google35%
なぜこれほど違うのでしょうか。理由は計測方法そのものにあります。
用語解説
StatCounterはChrome・Androidの利用比重が高いグローバル基準の計測ツールで、世界中のサイトに設置された解析タグからページビューを集計します。一方、韓国国内調査はNaverのアプリ・サービス群を含む「Naverエコシステム内」での実利用ログやMAU(月間アクティブユーザー)を基準にしており、計測の母集団そのものが異なります。
シェア逆転の背景にある10年の攻防
現在の数字だけを見ていては、この市場の力学は理解できません。Naverのシェアは2016年の74%から2022年には51%まで低下し、同じ期間にGoogleは387.5%増加したと報告されています。2022年末に64.81%あったNaverシェアが2023年5月には51.49%まで急落した局面もありました。Google躍進の一因として、2012年にGoogle担当者が韓国の官公庁・ウェブマスター・記者ら80名を説得し、Googlebotのクロールを許可させた経緯があるとされています(出典: Korea Times、2024年10月/link-assistant.com、確認日2026-07-25)。
どちらの数字が「正しい」かではなく、目的に応じて使い分けるという姿勢が実務では重要です。海外向けSEO/AIO予算の全体感を掴みたいならStatCounter、Naverエコシステム内での自社の立ち位置を知りたいなら国内調査、という具合に使い分けます。
実践ステップ
- 韓国市場のレポートを見るときは、必ず「どの計測方法に基づく数字か」を確認する
- StatCounter系と国内調査系、両方の数値を並記して社内に共有する
- 自社の目的(グローバル比較か、Naver内での立ち位置か)に応じて重視する指標を決める
- 過去数年のシェア推移(Naver低下・Google上昇の局面)も合わせて把握しておく
- 数字を引用する際は必ず出典と確認時点を明記する
まとめ
韓国の検索市場は、StatCounterのグローバル計測ではGoogleとNaverがほぼ拮抗し、国内調査ではNaverが6割超という、2つの異なる「正しい数字」が併存する市場です。どちらの計測でも「NaverとGoogleの2強で市場の9割を占める」という結論では一致しており、この2強構造を前提に戦略を立てることが出発点になります。次のレッスンでは、その2強の一角であるNaverが展開する生成AI検索「AI Briefing」の中身を見ていきます。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。
Q1. StatCounterのグローバル計測基準では韓国のNaverシェアが43.68%、国内の訪問ログ・MAU基準では64.28%と、計測方法によって大きく異なる数値が報告されている。
母集団の違い(グローバル解析タグ基準 vs Naverエコシステム内実利用ログ基準)により、どちらも「正しい」数値として併存する。
Q2. 韓国検索市場でStatCounterと国内調査のシェア数値が異なる理由として本文が説明するのは。
StatCounterはグローバル解析タグ基準、国内調査はNaverエコシステム内の実利用ログ・MAU基準という母集団の違いによる。
Q3. StatCounterと国内調査、双方の数値が一致している結論は。
どちらの計測でも「NaverとGoogleの2強で市場の9割を占める」という結論では一致している。
このレッスンのFAQ
Q. 韓国のNaverシェアは43%と64%のどちらが正しいのか。
どちらも正しく、StatCounter(グローバル計測基準)では43.68%、国内の訪問ログ・MAU基準では64.28%と、計測方法(母集団)が異なるために数値が異なります。
Q. なぜ計測方法によってこれほど数値が違うのか。
StatCounterはChrome・Androidの解析タグ集計というグローバル基準、国内調査はNaverエコシステム内の実利用ログ・MAUを基準にしており、母集団そのものが異なるためです。
Q. 韓国市場のシェアデータをどう使い分ければよいか。
グローバル比較にはStatCounter、Naverエコシステム内での自社の立ち位置を知りたい場合は国内調査、というように目的に応じて使い分けます。