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II-B5 RAGの仕組みを理解する

LLMが外部情報を検索してから回答する「検索拡張生成」の基本構造

このレッスンの狙い:RAGの基本的な仕組みを図で説明できる

最終更新: 2026-07-23

この記事の要点

  • RAGの基本的な仕組みを図で説明できる
  • RAGとは何か
  • RAGパイプラインの5段階
LLMとRAGの技術基礎II-B5

RAGの仕組みを理解する

LLMの弱点を補う検索拡張生成という仕組み

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ここまでのII-B2〜B4で、AIにはトークンという処理単位の制約があり(II-B2参照)、学習データカットオフという締め切りがあり(II-B3参照)、ハルシネーションという間違いも起こり得る(II-B4参照)ことを見てきました。この弱点を補うために生まれた仕組みがRAG(検索拡張生成)です。RAGの基本的な仕組みを、図(表)で人に説明できる状態を目指します。

RAGとは何か

RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)とは、LLMが答えを生成する前に外部の情報源を検索し、その結果を根拠に回答を組み立てる手法のことです。何も見ずに記憶だけで即答するのではなく、質問を受けてから関連資料を調べ、その資料をもとに回答を組み立てるイメージに近い仕組みです(出典: note, 2026年7月確認)。モデルの再学習なしに、「最新情報に弱い」「社内データを参照できない」という学習データカットオフ由来の弱点を補える点が特徴です(出典: Pinecone, 2026年7月確認)。ChatGPT検索・Google AI Mode・Perplexityといった「AI検索」は、広い意味でこのRAGの一種にあたります。

RAGパイプラインの5段階

RAGは、大きく5つの工程で動きます(出典: Pinecone, 2026年7月確認/Databricks, 2026年7月確認)。

段階内容
1. チャンキング文書を意味のまとまりで分割する
2. エンベディング生成各チャンクを意味の近さを表す数値ベクトルに変換する
3. インデックス化ベクトルをデータベースに格納し、検索可能な状態にする
4. 検索(リトリーバル)質問もベクトル化し、意味が近いチャンクを取得する
5. 拡張と生成取得したチャンクを質問文と合わせてプロンプトに組み込み、LLMが回答を生成する

4の検索段階が実際に取得する情報は、イメージとして次のような形になります。

{
  "query": "AIOとは何ですか",
  "retrieved_chunks": [
    {"source": "own-site/article-012", "similarity": 0.91},
    {"source": "own-site/faq-003", "similarity": 0.86}
  ]
}

各工程の詳細はこの先で一つずつ掘り下げます。1のチャンキングはII-B7、4で使うエンベディングとベクトル検索は次のII-B6で扱います。

検索の精度を上げるハイブリッド検索

4の検索段階では、意味の近さで探すベクトル検索だけでなく、キーワードの完全一致に強い検索(BM25など)を組み合わせるハイブリッド検索が実務では広く使われています(出典: フレクト, 2026年7月確認)。意味検索は言い換えや同義語に強い一方、型番や専門用語のような「表記の完全一致」が重要な場面では弱くなることがあるため、両方を組み合わせて補い合う発想です。

エージェント型RAGという発展形

近年は、このRAGの流れをAIエージェントが反復的に指揮し、検索クエリを立て直したり、取得結果の正しさを自己評価したりする「エージェント型RAG」への発展も進んでいます(出典: Databricks, 2026年7月確認)。単発の検索で終わらず、必要なら検索をやり直すという、より粘り強い探し方に進化しているということです。

実践ステップ

  1. 自社の主要記事が、質問に対して「1つの明確な答え」を提供できる構成になっているか棚卸しする
  2. 型番・製品名・専門用語など、完全一致が重要な語句を自社コンテンツ内で洗い出す
  3. 意味は近いが表記が異なる言い換え(同義語)についても、本文中でカバーできているか確認する
  4. 記事同士を内部リンクでつなぎ、孤立したページ(どこからもリンクされていないページ)がないか確認する
  5. RAGパイプラインの5段階を、自社サイトの構造に当てはめて図式化してみる

まとめ

RAGは、LLMが答えを生成する前に外部情報を検索し、その結果を根拠に回答を組み立てる仕組みで、学習データカットオフ(II-B3参照)やハルシネーション(II-B4参照)への対処法の一つです。チャンキング・エンベディング生成・インデックス化・検索・生成という5段階のパイプラインで動き、実務ではベクトル検索とキーワード検索を組み合わせるハイブリッド検索も広く使われています。この検索段階を裏で支えているエンベディングとベクトル検索という仕組みは、次のII-B6で掘り下げます。

このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。

確認テスト

選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。

Q1. RAGパイプラインの5段階には、チャンキング・エンベディング生成・インデックス化・検索(リトリーバル)・拡張と生成が含まれる。

Q2. 「ハイブリッド検索」の説明として正しいものはどれか。

Q3. 「エージェント型RAG」の特徴として本文が説明しているものはどれか。

このレッスンのFAQ

Q. RAGはAI検索とどう関係していますか?

ChatGPT検索・Google AI Mode・Perplexityといった「AI検索」は、広い意味でこのRAGの一種にあたります。RAGはLLMが答えを生成する前に外部の情報源を検索し、その結果を根拠に回答を組み立てる手法です。

Q. なぜベクトル検索だけでなくキーワード検索も組み合わせるのですか?

意味検索は言い換えや同義語に強い一方、型番や専門用語のような「表記の完全一致」が重要な場面では弱くなることがあるため、両方を組み合わせて補い合う発想がハイブリッド検索です。

Q. RAGはモデルの再学習が必要な仕組みですか?

いいえ。モデルの再学習なしに、「最新情報に弱い」「社内データを参照できない」という学習データカットオフ由来の弱点を補える点が特徴です。

監修:鈴木晋介(株式会社WEBMARKS 代表取締役)

技術基礎RAG
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